神仏欲な日々

神仏欲(しんぶつよく)とは、神社とお寺のことが好きでたまらない、愛欲のこと。

東大寺法華堂の巨大仏像群は圧倒的迫力!ぜひ観ていただきたい!

私がお寺で仏像を鑑賞するとき、お目当の仏像に会い行く場合と、お堂全体の仏像群を堪能する場合の2パターンがあります。今回は後者の大好きなお堂について紹介します。

 

東大寺法華堂(三月堂)

東大寺と言えば、阿形・吽形の南大門、奈良の大仏様の大仏殿、お水取りで有名な二月堂を参拝される人が多いと思います。もちろん、私も大好きな場所ですが、みなさんにぜひお勧めしたいお堂があります。それは、法華堂と戒壇堂です。今回紹介するのは二月堂の隣にある法華堂です。

 

戒壇堂の魅力はこちらでどうぞ⬇︎

 私の大好仏vol.2 東大寺 国宝四天王像 - 神仏欲な日々

 

法華堂は東大寺最古の国宝建築です。奈良時代に建てられ、鎌倉時代に増築されました。

安置されている10体の仏像がすべて天平時代(奈良時代)の国宝仏で、秘仏の執金剛神像(しゅこんごうじんぞう)以外はいつでも拝観できます。

執金剛神以外は3〜4mの巨大仏なので、大変な迫力です。更に、四天王や金剛力士は憤怒相と言って険しい顔をしているので、恐ろしく感じる人もいるかもしれません。そこが法華堂の最大の魅力です。

 

不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)

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奈良時代に作られた乾漆像の傑作です。高さが3.6mです。三つ目に八本の腕を持つ三目八臂(さんもくはっぴ)の仏像です。

「不空」とは、必ず願いが叶い空しい思いをさせないという意味で、「羂索」は古代インドで密猟や戦闘に使われた捕縛用の縄のことです。あらゆる人々を逃がすことなく救済するという意味があります。上から三本目の左手に持っています。

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▲羂索  綺麗な指ですね。

この仏像の見どころは、合掌した手と宝冠です。合掌した両手の間に水晶の宝珠があります。すき間を覗くとわずかに輝く光が見えます。宝冠にはたくさんの宝石が飾られ、製作年代を考えればとても豪華で貴重なものです。しかし、肉眼では遠くて鑑賞不能です。御朱印所に写真と解説がありますので、そちらで確認しましょう。

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▲合掌の水晶

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▲宝冠  水晶、翡翠、真珠など約2万個の宝石が飾られています。

 

梵天(ぼんてん)帝釈天(たいしゃくてん)

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梵天

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帝釈天

二体ともお堂の中で最も大きい4m超の巨像です。不空羂索観音の脇侍として、向かって右に梵天、左に帝釈天が配置されています。本尊より大きな脇侍はとても珍しいです。

梵天は衣の下に鎧を着け、左手に巻物を持っています。帝釈天は衣しか着ていません。しかし、通例では戦いの神である帝釈天か鎧を着ています。長い歴史の中で間違って伝えられたというのが定説です。このようなことは他のお寺でもよくあることです(笑)

二体とも細く切れ長の目で静かな表情です。しかし、巨大で重厚な幅広の体躯なので、立っているだけで迫力があります。

 

金剛力士立像

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▲阿形

通常、金剛力士像は上半身裸で仁王門に安置されていますが、法華堂の力士像は鎧を着てお堂にいます。

阿形は「あっ」と開いた口と大きく見開いた目とをした憤怒相です。まさに「怒髪天を衝く」表情です。大陸風の鎧もかっこいいと思います。像高は3.2mです。

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▲吽形

吽形は「んっ」と口をつぐんだ険しい表情です。頬骨が張って力強い意思を感じます。右手に金剛杵を握っています。

 

四天王立像

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持国天(じこくてん)

像高3.1m。須弥壇の右手手前にいます。右足を上げ左手を腰に当ててポーズを決めています。目を見開き口を開ける憤怒相です。

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増長天(ぞうちょうてん)

像高3.0m。須弥壇の左手手前にいます。1人だけ兜を被っています。目を細めて睨んできます。こちらも右足を上げています。

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広目天(こうもくてん)

像高3.1m。お堂の左奥にいます。右手に筆を持ち、左手に巻物を持っています。

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多聞天(たもんてん)

像高3.1m。お堂の右奥にいます。お堂では暗くて見にくい場所です。しかし、ソロ活動するときは毘沙門天(びしゃもんてん)と呼ばれる人気者です。

 

秘仏 執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)

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執金剛神像とは金剛杵(こんごうしょ)を執って仏法を守護する神のことで、金剛力士(仁王)はこの神将が発展して生まれたといわれている。普段は不空羂索観音像背後の厨子内に収められておられますが、年に一度12月16日の良弁忌のみ公開される秘仏です。

長年厨子の中に安置されていたので、当初の色彩が鮮明に残っています。

※画像は全て「講談社 日本の仏像」から引用しました。

 

法華堂は、仏たちの大きさと睨みに圧倒され、心にたまった邪気が振り払われるようです。畏敬の念や緊張感を持って参拝する稀有なお堂ですので、東大寺へ行ったらぜひ法華堂まで足を伸ばしてください。

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▲法華堂のご朱印

仏教とヒンドゥー教は同じ神々を祀っている⁈

仏教は紀元前5世紀にインドで生まれました。同時期にインドで発展したヒンドゥー教と同様、古代インド神話の影響を多く受けたので、共通する神々がたくさんいます。

仏教ではインド神話由来の仏は天部と分類され、名前の最後に「天」が付きます。そこで、ヒンドゥー教の神々が仏教ではどのように扱われているか調べました。

 

ブラフマー梵天(ぼんてん)

ブラフマーは、古代インドにおいて宇宙の根源とされた「ブラフマン」を神格化したものです。ヒンドゥー教では創造神ブラフマーはヴィシュヌ(維持神)、シヴァ(破壊神)と共に三大神の1人です。

仏教では梵天と呼ばれます。釈迦が悟りを開いたあと、その喜びに浸り自分だけで満足し、それを広めようとしませんでした。そこで、人々のために法を説くよう梵天が勧め、請い願ったことを「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」といい、仏教発展の重要な役割を担っています。
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ブラフマー 四面四臂で鵞鳥(ハンサチョウ、ガチョウ)に乗っています。

出展 https://commons.m.wikimedia.org/

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▲東寺 国宝梵天こちらは四面四臂で額に第三の目があるのが特徴です。4羽の鵞鳥(ガチョウ)に乗っています。出典「朝日新聞出版 国宝の美」

 

インドラと帝釈天

インドラは天空を神格化した神です。雷と戦いの神でもあります。バラモン教では金髪に金の肌で天空を駆ける軍神で、主役級の神様でした。しかし、ヒンドゥー教へと発展していくうちに、この神様は段々シヴァの役割に取って代わられていきます。現在では「東方の守護神」として位置づけられています。象の王アイラーヴァタという白象に乗っています。

仏教では帝釈天と呼ばれます。忉利天(とうりてん)という天界にある善見城(ぜんけんじょう)に住んで、四天王を従えています。阿修羅との戦いが有名で、阿修羅に勝って仏教に帰依させました。

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▲インドラ 白い象アイラーヴァタに乗っています。

出典 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/

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▲東寺 国宝帝釈天 額に第三の目があります。イケメン仏像として有名です。こちらも象に乗っていますが、象が少し小さいですね。出典「朝日新聞出版 国宝の美」

 

クベーラと毘沙門天(びしゃもんてん)

クベーラは地下に埋蔵されている財宝の守護神であり、またローカパーラ(世界を守る者)の一人として北方の守護神とされます。

仏教では、多聞天または毘沙門天と呼ばれます。四天王の1人である多聞天は北の守護神でヒンドゥー教と同じです。毘沙門天はソロ活動の時の名前です。七福神として有名です。

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▲クベーラ 肩車されてます。

出典 https://commons.m.wikimedia.org/

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▲東寺 国宝兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)

地天女(ちてんにょ)に足元を支えられています。両脇に餓鬼もいます。出典「双葉社 仏像がもっとわかる本」

  

サラスヴァティーと弁才天

サラスヴァティーは、もともとは西北インドにあった大河の名前を指します。河がもたらす恵みから豊穣の女神となり、流れる河の音から音楽の女神でもあります。4本の腕を持ち琵琶のような楽器を持っています。ブラフマーの妻です。

仏教では七福神弁才天です。音楽の神、智慧の神、水の神、蓄財の神などさまざまなご利益があります。「才」を「財」に代えて弁財天と表記するお寺もあります。その場合、蓄財の神、五穀豊穣の神として祀られています。

日本では独自の進化を遂げ、宗像三女神(むなかたさんじょしん)の一柱である市杵嶋姫命(いちきしまひめ)と同一視されて、神社にお祀りされています。江の島の江島神社と鎌倉の銭洗弁天(宇賀福神社)が有名です。

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▲サラスヴァティー

出典  https://commons.m.wikimedia.org/

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江島神社 妙音弁才天像  出典「枻出版社 天の仏像のすべて」


ヴィシュヌと釈迦

最後に驚きの事実で終わりたいと思います。

ヴィシュヌはヒンドゥー教三大神の1人です。世界が悪の脅威にさらされたとき、混沌に陥ったとき、破壊的な力に脅かされたときには「維持者、守護者」として様々なアヴァターラ(化身)を使い分け、地上に現れるとされています。

なんと、釈迦も化身の1人なんです。偉大なるヴェーダ聖典を悪人から遠ざけるために、敢えて偽の宗教である仏教を広め、人々を混乱させるために出現したとされています。
ヒンドゥー教にとって仏教はひとつの宗派のようです。釈迦も重要な役割があります。

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▲釈迦 出典 https://ja.m.wikipedia.org/

インドで仏教は廃れてしまいましたが、インドで生まれ仏教ヒンドゥー教には深いつながりがあります。

大仏師運慶の大好仏その2

9月に東京国立博物館で「運慶展」が開催されます。それを記念し勝手にコラボ企画の第2弾です。私が好きな運慶の傑作をご紹介します。

興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
2017/09/26 ~ 2017/11/26

特別展「運慶」公式サイト 

 

国宝 金剛力士立像

運慶と言えば奈良 東大寺南大門の金剛力士像、阿形(あぎょう)吽形(うんぎょう)がもっとも有名ですね。歴史の教科書には運慶の代表作として必ず掲載されます。ただし、運慶がひとりで製作したのでなく、慶派一門の共同作業です。その中には快慶も含まれていました。

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▲国宝 金剛力士立像像 出典「講談社 日本の仏像」

8mを超える巨像が門の左右から参拝者に睨みをきかせてます。悪者が結界に近づかないようお寺を守護しています。

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▲阿形 出典「講談社 日本の仏像」

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▲吽形 出典「講談社 日本の仏像」

 

国宝 八大童子

高野山霊宝館に安置されています。八大童子とは不動明王に仕える童子です。童子たちの表情をご覧ください。それぞれ個性があり、よいお顔をしています。玉眼の目が今にもこちらを見つめてきそうです。

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制多迦童子(せいたかどうじ)以下、出典はすべて「講談社 日本の仏像」

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▲恵光童子(えこうどうじ)

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▲矜羯羅童子(こんがらどうじ)

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▲恵喜童子(えきどうじ)

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▲清浄比丘童子(しょうじょうびくどうじ)

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▲烏倶婆俄童子(うぐばがどうじ)

国宝指定は以上の6躯です。他の2躯は後から作り直されました。

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 ▲指徳童子(しとくどうじ)

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▲阿耨達童子(あのくたどうじ)

 

重文 帝釈天梵天聖観音立像

愛知県岡崎市にある瀧山寺の宝物殿に安置されています。地元愛知県唯一の運慶作品です。

今までの仏像より色彩が鮮やかなのは、江戸時代と明治時代に塗り直しされたからです。オリジナルはどのような色彩だったのか想像するのも楽しいです。

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帝釈天立像 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」

帝釈天仏教の守護神で、インドの神インドラが仏教に取り込まれたものです。妻はなんと、阿修羅の娘です!しかも、帝釈天と阿修羅は以前はとても仲が悪くいつも闘っていましたが、娘をさらわれた阿修羅が怒ったのが原因でした。もちろん、今は仲良しです。

帝釈天は衣の下に鎧を着ているのが特徴です。

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梵天 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」

梵天も古代インドの神「ブラフマー」が仏教に取り入れられたものです。四面四臂が特徴です。ヒンドゥー教では創造神ブラフマーはヴィシュヌ、シヴァと共に三大神の1人です。梵天帝釈天は仲良しでいつも対でいるので、梵釈と呼ばれます。

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聖観音立像 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」

 

まだまだ運慶の素晴らしい作品は数多くあります。ここで紹介できなかった作品が展示会に出展されるので、秋はぜひトーハク(東京国立博物館)へ足を運んでみてください。

 

興福寺の御朱印

仮講堂を拝観した後、東金堂と南円堂にお参りしました。

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▲国宝 東金堂と国宝 五重塔

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▲東金堂正面

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▲東金堂の几帳 鹿の文様ですね

東金堂を参拝しました。本尊は重文の薬師如来坐像です。脇侍の日光・月光菩薩像(いずれも重文)、文殊菩薩像と維摩居士(ゆいまこじ)像、四天王像、十二神将像(以上いずれも国宝)が安置されます。

今回、特別に旧東金堂本尊の仏頭が展示されていました。

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▲国宝 銅像仏頭 出典 興福寺HP

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▲東金堂の御朱印と御詠歌『猿沢の 池のほとりの寺庭に 瑠璃の光は あまねかりけり』

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猿沢池  池越しに興福寺五重塔が見えます。

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▲重文 南円堂

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▲2014年9月の南円堂 右手に一言観音があります。

南円堂は普段は非公開のため、脇にある一言観音をお参りしました。その名の通り、一言だけのお願いをするとそれが叶えられるという人気のお堂です。

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▲一言観音の御朱印と御詠歌『頼もしく あゆみを運べ 一言の ねがいもすてぬ 誓い今せば』

 

最後に奈良のグルメ情報です。

ランチは「天極堂 奈良本店」で葛料理と葛餅をいただきました。奈良国立博物館から徒歩約5分です。1870年創業の吉野本葛の老舗です。葛料理は初めていただきましたが、とても美味しかったです。葛餅は絶品でした。

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創業140余年の吉野本葛の老舗、天極堂へようこそ

阿修羅とその仲間たちの群像展

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▲国宝 阿修羅像 出典「雑誌 一個人」

興福寺 天平乾漆群像展

奈良国立博物館をたっぷり堪能した後は、興福寺に向かいます。『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅 -天平乾漆群像展- 』を観るためです。乾漆(かんしつ)像とは漆を特殊な技法で粘土のように固めて作った仏像のことです。

国宝館耐震工事に伴い、ふだん非公開の仮講堂で阿修羅像をはじめ八部衆十大弟子金剛力士など国宝館の主要な国宝を公開しています。

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▲仮講堂 すぐ隣りでは中金堂を再建中です。

普段は国宝館にいる仏像界のスーパースター、興福寺の阿修羅像がお堂に安置されるとても貴重な展示です。2009年の「お堂で観る阿修羅展」以来約8年振りです。

8年前も拝観しましたが、そのときは阿修羅ブーム真っ只中で行列の待ち時間が210分もあったそうです。(自分が何分待ったか忘れましたが(笑))しかし、今回は約10分で拝観できました。阿修羅ブームも落ち着きましたね。

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▲出典「雑誌 芸術新潮

永遠の少年

お堂に入ると国宝、重文の仏像がズラリと並んでいます。その中で阿修羅像は特別な存在感があります。三面六臂という異形に目が止まり、少年のようなお顔立ちと華奢な体に心を奪われます。

阿修羅像で画像検索すると興福寺の阿修羅かそれ似たものしか出てこないので、それが主流だと勘違いしている人が多いかもしれませんが、そうではありません。阿修羅は戦いの神です。"修羅場"というのは阿修羅のすざましい戦いの様子が語源の言葉です。釈迦と出会い仏教に帰依して守護神となりますが、牙をむき出した怖いお顔が本来の姿です。

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▲出典「北野天満宮蔵 北野天神縁起絵巻」

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▲右が阿修羅です。出典 「新知恩院蔵 六道絵」滋賀県琵琶湖文化館写真提供

 なぜ、興福寺の阿修羅像は少年のようなんでしょう。しかも、美顔で何とも言えない複雑な表情をされています。怒っているのか、悲しんでいるのか、耐え忍んでいるのか、観る人により感じかたは様々だと思います。しかも、左右のお顔も美顔で何とも言えない表情をしています。それが最大の魅力となり女性のハートをがっちりつかんだのでしょう。私もその一人です。しかし、つかまれたのはブームのかなり前ですが。

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▲正面 夏目雅子に似ているといううわさがあります。出典「講談社 日本の仏像」

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▲左面 向井 理似? 出典「講談社 日本の仏像」

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▲右面 軽く唇を噛んでいます。なぜでしょう。出典「講談社日本の仏像」

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▲背後 見事です。まったく違和感がありません。出典「講談社日本の仏像」

小学校の修学旅行で初めて阿修羅像に会ってから何十年も経ちます。阿修羅を追い越し私はすっかりおじさんになりましたが、阿修羅は少年のままです。約1300年前に作られたのに、歳をとらない阿修羅は永遠の少年です。

 

国宝 八部衆(はちぶしゅう)立像

阿修羅は八部衆に属しています。八部衆はインドの神々が仏教にとりこまれて守護神となりました。仲間には迦楼羅(かるら)、五部浄(ごぶじょう)、ヒ婆迦羅(ひばから)、沙カ羅(さから)、緊那羅(きんなら)、鳩槃茶(くばんだ)、乾闥婆(けんだつば)がいます。

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迦楼羅 インドの神ガルーダ、鳥の頭をしています。出典「講談社日本の仏像」

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▲五部浄 頭に象の冠です。少年のような顔立ちです。出典「雑誌 芸術新潮

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▲沙カ羅 頭に蛇がいます。可愛いお顔です。出典「講談社日本の仏像」

 

国宝 十大弟子立像

釈迦の弟子の中で特に優れた10人です。大迦葉(だいかしょう)、阿那律(あなりつ)、◯富楼那(ふるな)、◯迦旃延(かせんえん)、優婆離(うばり)、◯羅睺羅(らごら)、◯舎利弗(しゃりほつ)、◯目犍連(もくけんれん)、阿難陀(あなんだ)、◯須菩提(すぼだい)です。◯印が興福寺に残された6体です。

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須菩提 赤ちゃんのようなお顔です。出典「芸術新潮

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▲仮講堂内の仏像配置図

全部で26体の仏像が展示されています。そのうち、国宝が19体重文が7体です。何とも豪華な陣容です。

展示は、3月15日(水)~6月18日(日)、9月15日(金)~11月19日(日)です。まだまだ、間に合います。ぜひ、お堂で阿修羅を拝観してください。

 

 

 

 

 

なら仏像館で仏像と戯れる

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▲なら仏像館 西側玄関外観

奈良国立博物館(以下、ナラハク)で「特別展 快慶」を観たあと「なら仏像館」へ行きました。その名の通り仏像専門の展示施設です。日本唯一だと思います。

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▲東側入口外観

ナラハクには新旧の建物があります。「特別展 快慶」が開催されているのが、東新館・西新館です。1997年と1972年に完成しました。

「なら仏像館」は1894年に完成した旧帝国博物館をリニューアルした施設です。HPに分かりやすい解説があったので引用します。

なら仏像館は、明治27年(1894)に完成した、奈良で最初の本格的洋風建築です。設計は、当時宮内省内匠寮技師であった片山東熊(かたやまとうくま・1854-1917)によるもので、フレンチルネサンス高揚期の様式をとっています。玄関まわりの装飾は意匠的にすぐれ、明治中期の欧風建築として代表的なものです。昭和44年 (1969)に「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財に指定されました。
平成22年(2010)に「なら仏像館」と名称を変え、仏像専門の展示施設として再スタートし、平成28年4月には、展示室を大幅に改装し、リニューアルオープンしました。

奈良国立博物館HPより)

山東熊(かたやまとうくま)と言えば、京都国立博物館東京国立博物館表慶館、赤坂の迎賓館(旧東宮御所)など、明治を代表する西洋建築の設計をした名建築家です。特に迎賓館は2009年、旧東宮御所迎賓館赤坂離宮)として国宝に指定、明治以降の文化財としては初の国宝となっています。

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京都国立博物館(重文)

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京都国立博物館 もうすぐ国宝に格上げするかも

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東京国立博物館 表慶館(重文)

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東京国立博物館 表慶館

 

なら仏像館には、奈良、平安、鎌倉時代の作品をメインに常時100体程度の仏像が展示されているので、見応え充分です。また、建物も明治時代のもので、いまだに現役として活躍しているとても貴重な存在です。

新館とは地下回廊で繋がっているので、雨に濡れずに移動できます。また、地下にあるミュージアムショップはナラハクならではのグッズがたくさん売られています。

ナラハクへ行ったらぜひ仏像館も見学してください。

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空前絶後の超絶大仏師 快慶展

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▲出典 図録表紙

奈良国立博物館で4月8日から始まった「特別展 快慶」に行って来ました。鎌倉時代に活躍した慶派の大仏師快慶の仏像を空前絶後の規模で集めた展覧会です。

いてもたってもいられず、開幕初日に行って来ました。雨が降ったり止んだりの天気でしたが、暖かいので多少濡れても気になりませんでした。古都は雨も似合います。

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近鉄奈良駅で降り、奈良公園の中にある奈良国立博物館へ徒歩で向かいます。駅からは10分くらいです。奈良公園には鹿と戯れる人がいっぱいでした。桜も満開です。

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▲鹿に会うと奈良に来たんだなぁと実感します。

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奈良国立博物館外観

会場の入口を入ると京都 金剛院の仁王像(桃色⁉︎)がお出迎え。展示は第一章から第七章のエリアに分かれていました。

 

醍醐寺弥勒菩薩坐像(重文)

第一章でいきなり私の大好仏、京都醍醐寺 弥勒菩薩が展示されています。

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▲宝冠を外した珍しいお姿。出典 図録

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▲出典 図録

端正なお顔です。正統派イケメン仏像の代表だと思います。全身に残る金泥(きんでい)と豪華な装飾品のおかげで品の良いゴージャスさも合わせ持ちます。解説には快慶初期の作品と紹介されています。それなのにこの完成度の高さには驚嘆です。

…しかし、展示は4月25日〜6月4日でした。残念ながら私は鑑賞できませんでした。気持ちが先走り調査不足でした。できれば再訪し再会したいと思います。

 

清水寺奥の院 三面千手観音坐像(重文)

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▲図録より

お姿を拝見したときはとても驚き、歓喜しました。滅多に公開されない仏像です。2003年243年振りに公開された秘仏中の秘仏です。その後は2008年の西国三十三所の特別展で公開されただけです(間違っていたらごめんなさい)。ちなみに私は、名古屋市博物館に巡回に来た西国三十三所展で拝観しました。正面、左右に三面、頭上に二十四面、合計二十七面もある特別な千手観音像です。私の知る限り他に作例がないと思います。(知っている方がいればメッセージください) 今回、快慶作なのを初めて知りましたが、なるほどと納得の素晴らしい仏像です。

お顔が凛々しく、金泥も綺麗に残っています。良いお顔をされています。頭頂の化仏がとても印象的です。

 

高野山広目天多聞天深沙大将、執金剛力士(すべて重文)

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広目天 出典 博物館で購入したA4サイズのブロマイド

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▲出典 図録 赤い塗料がわずかに残っています

大好きな高野山広目天も展示されていました。 全体のバランスが素晴らしいです。お顔をアップで見ると更に魅力が増します。博物館では気づきませんでしたが、赤い塗料が少し残っています。

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多聞天 出典 図録

多聞天は弟子に作らせた、快慶の監修作品のようです。

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深沙大将(じんじゃたいしょう) 出典 図録

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▲骸骨のネックレスとお腹に人面⁈

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▲膝当ては象の顔です

西遊記玄奘三蔵が旅の途中、砂漠で一滴の水を得ることができず、息絶えようとしている時、流砂の中より現れて護(まも)ったのが、深沙大将であるといわれています 。

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▲執金剛力士像 出典 図録

分身して二体の金剛力士になります。

 

安阿弥様(あんなみよう)

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東大寺 阿弥陀如来立像( 重文) 出典 図録

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▲京都 遣迎院(けんごういん) 阿弥陀如来立像(重文)出典 図録

 快慶は熱心な阿弥陀信仰者で、作品に「巧匠アン阿弥陀仏」(「アン」は梵字)と銘記しています。晩年は数多くの三尺の阿弥陀如来立像をを製作し、後に安阿弥様(あんなみよう)と呼ばれています。今回の展示では安阿弥様の阿弥陀如来立像がたくさん出陳されています。中でも東大寺と遺迎寺(けんごういん)の像は金泥が綺麗に残ってとても綺麗な像です。

 

全部を紹介することはできませんが、まだまだ素晴らしい仏像がたくさんありますので、仏像に少しでも興味のある方はぜひGW中に奈良国立博物館を訪れてください。また、市内の数多くのお寺ではこの時期に秘仏公開をしているのでとてもお勧めですよ。

 

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