興福寺の御朱印
仮講堂を拝観した後、東金堂と南円堂にお参りしました。
▲国宝 東金堂と国宝 五重塔
▲東金堂正面
▲東金堂の几帳 鹿の文様ですね
東金堂を参拝しました。本尊は重文の薬師如来坐像です。脇侍の日光・月光菩薩像(いずれも重文)、文殊菩薩像と維摩居士(ゆいまこじ)像、四天王像、十二神将像(以上いずれも国宝)が安置されます。
今回、特別に旧東金堂本尊の仏頭が展示されていました。
▲東金堂の御朱印と御詠歌『猿沢の 池のほとりの寺庭に 瑠璃の光は あまねかりけり』
▲重文 南円堂
▲2014年9月の南円堂 右手に一言観音があります。
南円堂は普段は非公開のため、脇にある一言観音をお参りしました。その名の通り、一言だけのお願いをするとそれが叶えられるという人気のお堂です。
▲一言観音の御朱印と御詠歌『頼もしく あゆみを運べ 一言の ねがいもすてぬ 誓い今せば』
最後に奈良のグルメ情報です。
ランチは「天極堂 奈良本店」で葛料理と葛餅をいただきました。奈良国立博物館から徒歩約5分です。1870年創業の吉野本葛の老舗です。葛料理は初めていただきましたが、とても美味しかったです。葛餅は絶品でした。
阿修羅とその仲間たちの群像展
▲国宝 阿修羅像 出典「雑誌 一個人」
興福寺 天平乾漆群像展
奈良国立博物館をたっぷり堪能した後は、興福寺に向かいます。『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅 -天平乾漆群像展- 』を観るためです。乾漆(かんしつ)像とは漆を特殊な技法で粘土のように固めて作った仏像のことです。
国宝館耐震工事に伴い、ふだん非公開の仮講堂で阿修羅像をはじめ八部衆、十大弟子、金剛力士など国宝館の主要な国宝を公開しています。
▲仮講堂 すぐ隣りでは中金堂を再建中です。
普段は国宝館にいる仏像界のスーパースター、興福寺の阿修羅像がお堂に安置されるとても貴重な展示です。2009年の「お堂で観る阿修羅展」以来約8年振りです。
8年前も拝観しましたが、そのときは阿修羅ブーム真っ只中で行列の待ち時間が210分もあったそうです。(自分が何分待ったか忘れましたが(笑))しかし、今回は約10分で拝観できました。阿修羅ブームも落ち着きましたね。
▲出典「雑誌 芸術新潮」
永遠の少年
お堂に入ると国宝、重文の仏像がズラリと並んでいます。その中で阿修羅像は特別な存在感があります。三面六臂という異形に目が止まり、少年のようなお顔立ちと華奢な体に心を奪われます。
阿修羅像で画像検索すると興福寺の阿修羅かそれ似たものしか出てこないので、それが主流だと勘違いしている人が多いかもしれませんが、そうではありません。阿修羅は戦いの神です。"修羅場"というのは阿修羅のすざましい戦いの様子が語源の言葉です。釈迦と出会い仏教に帰依して守護神となりますが、牙をむき出した怖いお顔が本来の姿です。
▲出典「北野天満宮蔵 北野天神縁起絵巻」
▲右が阿修羅です。出典 「新知恩院蔵 六道絵」滋賀県立琵琶湖文化館写真提供
なぜ、興福寺の阿修羅像は少年のようなんでしょう。しかも、美顔で何とも言えない複雑な表情をされています。怒っているのか、悲しんでいるのか、耐え忍んでいるのか、観る人により感じかたは様々だと思います。しかも、左右のお顔も美顔で何とも言えない表情をしています。それが最大の魅力となり女性のハートをがっちりつかんだのでしょう。私もその一人です。しかし、つかまれたのはブームのかなり前ですが。
▲正面 夏目雅子に似ているといううわさがあります。出典「講談社 日本の仏像」
▲左面 向井 理似? 出典「講談社 日本の仏像」
▲右面 軽く唇を噛んでいます。なぜでしょう。出典「講談社日本の仏像」
▲背後 見事です。まったく違和感がありません。出典「講談社日本の仏像」
小学校の修学旅行で初めて阿修羅像に会ってから何十年も経ちます。阿修羅を追い越し私はすっかりおじさんになりましたが、阿修羅は少年のままです。約1300年前に作られたのに、歳をとらない阿修羅は永遠の少年です。
国宝 八部衆(はちぶしゅう)立像
阿修羅は八部衆に属しています。八部衆はインドの神々が仏教にとりこまれて守護神となりました。仲間には迦楼羅(かるら)、五部浄(ごぶじょう)、ヒ婆迦羅(ひばから)、沙カ羅(さから)、緊那羅(きんなら)、鳩槃茶(くばんだ)、乾闥婆(けんだつば)がいます。
▲迦楼羅 インドの神ガルーダ、鳥の頭をしています。出典「講談社日本の仏像」
▲五部浄 頭に象の冠です。少年のような顔立ちです。出典「雑誌 芸術新潮」
▲沙カ羅 頭に蛇がいます。可愛いお顔です。出典「講談社日本の仏像」
国宝 十大弟子立像
釈迦の弟子の中で特に優れた10人です。大迦葉(だいかしょう)、阿那律(あなりつ)、◯富楼那(ふるな)、◯迦旃延(かせんえん)、優婆離(うばり)、◯羅睺羅(らごら)、◯舎利弗(しゃりほつ)、◯目犍連(もくけんれん)、阿難陀(あなんだ)、◯須菩提(すぼだい)です。◯印が興福寺に残された6体です。
▲仮講堂内の仏像配置図
全部で26体の仏像が展示されています。そのうち、国宝が19体重文が7体です。何とも豪華な陣容です。
展示は、3月15日(水)~6月18日(日)、9月15日(金)~11月19日(日)です。まだまだ、間に合います。ぜひ、お堂で阿修羅を拝観してください。
なら仏像館で仏像と戯れる
▲なら仏像館 西側玄関外観
奈良国立博物館(以下、ナラハク)で「特別展 快慶」を観たあと「なら仏像館」へ行きました。その名の通り仏像専門の展示施設です。日本唯一だと思います。
▲東側入口外観
ナラハクには新旧の建物があります。「特別展 快慶」が開催されているのが、東新館・西新館です。1997年と1972年に完成しました。
「なら仏像館」は1894年に完成した旧帝国博物館をリニューアルした施設です。HPに分かりやすい解説があったので引用します。
なら仏像館は、明治27年(1894)に完成した、奈良で最初の本格的洋風建築です。設計は、当時宮内省内匠寮技師であった片山東熊(かたやまとうくま・1854-1917)によるもので、フレンチルネサンス高揚期の様式をとっています。玄関まわりの装飾は意匠的にすぐれ、明治中期の欧風建築として代表的なものです。昭和44年 (1969)に「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財に指定されました。
平成22年(2010)に「なら仏像館」と名称を変え、仏像専門の展示施設として再スタートし、平成28年4月には、展示室を大幅に改装し、リニューアルオープンしました。(奈良国立博物館HPより)
片山東熊(かたやまとうくま)と言えば、京都国立博物館、東京国立博物館表慶館、赤坂の迎賓館(旧東宮御所)など、明治を代表する西洋建築の設計をした名建築家です。特に迎賓館は2009年、旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)として国宝に指定、明治以降の文化財としては初の国宝となっています。
▲京都国立博物館(重文)
▲京都国立博物館 もうすぐ国宝に格上げするかも
なら仏像館には、奈良、平安、鎌倉時代の作品をメインに常時100体程度の仏像が展示されているので、見応え充分です。また、建物も明治時代のもので、いまだに現役として活躍しているとても貴重な存在です。
新館とは地下回廊で繋がっているので、雨に濡れずに移動できます。また、地下にあるミュージアムショップはナラハクならではのグッズがたくさん売られています。
ナラハクへ行ったらぜひ仏像館も見学してください。
空前絶後の超絶大仏師 快慶展
▲出典 図録表紙
奈良国立博物館で4月8日から始まった「特別展 快慶」に行って来ました。鎌倉時代に活躍した慶派の大仏師快慶の仏像を空前絶後の規模で集めた展覧会です。
いてもたってもいられず、開幕初日に行って来ました。雨が降ったり止んだりの天気でしたが、暖かいので多少濡れても気になりませんでした。古都は雨も似合います。
近鉄奈良駅で降り、奈良公園の中にある奈良国立博物館へ徒歩で向かいます。駅からは10分くらいです。奈良公園には鹿と戯れる人がいっぱいでした。桜も満開です。
▲鹿に会うと奈良に来たんだなぁと実感します。
▲奈良国立博物館外観
会場の入口を入ると京都 金剛院の仁王像(桃色⁉︎)がお出迎え。展示は第一章から第七章のエリアに分かれていました。
醍醐寺の弥勒菩薩坐像(重文)
第一章でいきなり私の大好仏、京都醍醐寺 弥勒菩薩が展示されています。
▲宝冠を外した珍しいお姿。出典 図録
▲出典 図録
端正なお顔です。正統派イケメン仏像の代表だと思います。全身に残る金泥(きんでい)と豪華な装飾品のおかげで品の良いゴージャスさも合わせ持ちます。解説には快慶初期の作品と紹介されています。それなのにこの完成度の高さには驚嘆です。
…しかし、展示は4月25日〜6月4日でした。残念ながら私は鑑賞できませんでした。気持ちが先走り調査不足でした。できれば再訪し再会したいと思います。
清水寺奥の院 三面千手観音坐像(重文)
▲図録より
お姿を拝見したときはとても驚き、歓喜しました。滅多に公開されない仏像です。2003年243年振りに公開された秘仏中の秘仏です。その後は2008年の西国三十三所の特別展で公開されただけです(間違っていたらごめんなさい)。ちなみに私は、名古屋市博物館に巡回に来た西国三十三所展で拝観しました。正面、左右に三面、頭上に二十四面、合計二十七面もある特別な千手観音像です。私の知る限り他に作例がないと思います。(知っている方がいればメッセージください) 今回、快慶作なのを初めて知りましたが、なるほどと納得の素晴らしい仏像です。
お顔が凛々しく、金泥も綺麗に残っています。良いお顔をされています。頭頂の化仏がとても印象的です。
高野山の広目天、多聞天、深沙大将、執金剛力士(すべて重文)
▲広目天 出典 博物館で購入したA4サイズのブロマイド
▲出典 図録 赤い塗料がわずかに残っています
大好きな高野山の広目天も展示されていました。 全体のバランスが素晴らしいです。お顔をアップで見ると更に魅力が増します。博物館では気づきませんでしたが、赤い塗料が少し残っています。
▲多聞天 出典 図録
多聞天は弟子に作らせた、快慶の監修作品のようです。
▲深沙大将(じんじゃたいしょう) 出典 図録
▲骸骨のネックレスとお腹に人面⁈
▲膝当ては象の顔です
西遊記の玄奘三蔵が旅の途中、砂漠で一滴の水を得ることができず、息絶えようとしている時、流砂の中より現れて護(まも)ったのが、深沙大将であるといわれています 。
▲執金剛力士像 出典 図録
分身して二体の金剛力士になります。
安阿弥様(あんなみよう)
▲京都 遣迎院(けんごういん) 阿弥陀如来立像(重文)出典 図録
快慶は熱心な阿弥陀信仰者で、作品に「巧匠アン阿弥陀仏」(「アン」は梵字)と銘記しています。晩年は数多くの三尺の阿弥陀如来立像をを製作し、後に安阿弥様(あんなみよう)と呼ばれています。今回の展示では安阿弥様の阿弥陀如来立像がたくさん出陳されています。中でも東大寺と遺迎寺(けんごういん)の像は金泥が綺麗に残ってとても綺麗な像です。
全部を紹介することはできませんが、まだまだ素晴らしい仏像がたくさんありますので、仏像に少しでも興味のある方はぜひGW中に奈良国立博物館を訪れてください。また、市内の数多くのお寺ではこの時期に秘仏公開をしているのでとてもお勧めですよ。
秘宝・秘仏特別公開|イベント|奈良県観光[公式サイト] あをによし なら旅ネット
大仏師 運慶の大好仏 その1
9月に東京国立博物館で「運慶展」が開催されます。それを記念し勝手にコラボ企画、私が好きな運慶の傑作をご紹介します。
▲出典 展覧会ポスター
日本彫刻史上の最高傑作のひとつ 国宝 無著・世親(むちゃく・せしん)立像
▲出典「講談社 日本の仏像」右が無著像、左が世親像
奈良興福寺の国宝 北円堂に安置されています。北インドの高僧、無著と世親の兄弟像で、国宝弥勒如来坐像(運慶作)の脇侍です。運慶晩年の傑作です。
▲無著像 出典「講談社 日本の仏像」
瞳をご覧ください。今にも涙が溢れそうなうるみがあります。「玉眼」といって水晶の板に瞳を描き、眼にはめたものです。そのリアルさに圧倒されます。彫刻なのにこのような表現はおかしいのですが、遠くを見つめるような表情は何を思うのでしょうか。約八百年の人々の祈りにより、まるで魂が宿っているようです。
▲世親像 出典「講談社 日本の仏像」
一方、弟の世親は厳しい表情をしています。衆生を救うため数多の困難にも立ち向かおうとする、意志の強さを感じます。
▲本尊の国宝 弥勒如来座像です。こちらも運慶作です。出典「講談社 日本の仏像」
興福寺の北円堂は普段未公開ですが、春と秋に特別公開します。ぜひ、ご覧ください。
国宝 大日如来坐像
▲出典「講談社 日本の仏像」
大日如来は奈良市忍辱山町にある忍辱山円成寺(にんにくせん えんじょうじ)の多宝塔に安置されています。こちらは、運慶の若き日の傑作です。
▲出典「講談社 日本の仏像」
無著・世親像と比べると、表情が精悍で体つきに張りがありとても若々しい像です。若き日の運慶の意気込みを感じます。
大日如来は密教における根本仏です。如来でありながら、宝冠、瓔珞、臂釧、腕釧を身に着け、一種の王者の姿をとっています。それらの細工は緻密かつ精巧で、像全体に華やかさを添えています。
円成寺は奈良駅からバスで約30分ほどののどかな里山にあります。柳生の里の近くです。
国宝 毘沙門天(びしゃもんてん)立像、不動明王立像
二つの像は静岡県伊豆の国市にある願成就院(がんじょうじゅいん)に安置されています。2013年国宝に格上げされました。先に紹介した像とはうって変わって、勇ましい表情と憤怒相の仏像です。
ふくよかなお顔は力士のようです。甲冑を着たがっちりとした体躯は漢を感じます。大きな目に睨まれたら悪者も退散するでしょう。鎌倉時代の侍たちが好みそうな姿です。
毘沙門天は四天王の多聞天(たもんてん)がソロで活動するときの別名です。七福神としても活躍しています。須弥山ではとても人気のある守護神です。
一方、不動明王は怒りの表情がとても見事です。おばさんパーマのような髪型はご愛嬌です。左に制咜迦童子(せいたかどうじ)、右に矜羯羅童子(こんがらどうじ)の脇侍がいます。写真では分かりにくいですが、制咜迦の表情は秀逸です。誰かにガンを飛ばしています。やんちゃ坊主とおとなしい風船を持った女の子を連れたおばさんに見えてきます。
次回は、ついに開幕した!快慶展に行って来たのでそのレポートをします
天才仏師 快慶の大好仏 その2
奈良国立博物館で4月8日から始まる「快慶展」との勝手にコラボ企画「快慶の大好仏 その2」です。快慶作の仏像で私が好きな作品を紹介します。
国宝 阿弥陀三尊立像
▲左から、勢至菩薩、阿弥陀如来、観音菩薩の三尊。左が観音菩薩、右が勢至菩薩が一般的だが、浄土寺は左右逆である。 出典 講談社「日本の仏像」
浄土寺(兵庫県小野市)の本尊です。阿弥陀三尊像とは、阿弥陀如来を真ん中し観音菩薩、勢至菩薩が両脇を固める仏像のことです。観音菩薩は単独で祀られることが多いですが、実は阿弥陀様の脇侍(わきじ)なのです。
阿弥陀像は丈六(一丈六尺、約5m)の大きな仏像です。両脇侍も約4mあり、国宝の浄土堂に安置されています。
黄昏時がゴールデンタイム
この阿弥陀三尊は夕暮れ時に参拝するのがベストです。三尊は東を向いて立っておられるので、夕暮れになるとお堂に差し込む夕日が仏像を包み込み、参拝者は来迎の擬似体験ができます。
後姿も輝いています
▲出典 講談社「日本の仏像」
阿弥陀三尊はお堂の中央にある須弥壇(しゅみだん)立っておられるので、後姿も見ることができます。夕日に照らされた背中は金色に輝いているでしょう。阿弥陀様が乗っている雲がしっぽのように立ち上がっています。
重要文化財 四天王立像
高野山霊宝館に安置されています。四天王は須弥山(しゅみせん)頂上に住んでいる帝釈天(たいしゃくてん)の輩下として、この山の四方の中腹にある門を守護している神です。持国天(じこくてん)・増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)・多聞天(たもんてん)の四人です。もとは古代インドの神です。
顔がいい!
四天王は悪者から仏法を守護しているので憤怒相といって怖い顔しています。しかし、そのお顔が整ってとてもよいのです。
▲広目天 出典 「快慶展」ポスター
バランスが素晴らしい!
四天王はもちろん実在しませんが、全体のバランスがとても素晴らしいです。特に広目天のプロポーションと安定感は架空のものとは思えないリアリティがあります。
▲持国天
高野山霊宝館には他にも快慶仏がありますし、運慶の仏像もあるので、とてもオススメです。高野山参拝の際には是非立ち寄ってください。
次回は、私の好きな運慶仏を紹介します。
天才仏師 快慶の大好仏 その1
4月に奈良国立博物館で「特別展 快慶」、9月に東京国立博物館で「運慶展」が開催されるのを記念し、勝手にコラボ企画を行います。
快慶、運慶とは誰?と思われた方もいらっしゃると思うので、簡単に紹介します。
鎌倉時代に一大勢力を誇った仏師集団の慶派。その中心人物が快慶と運慶です。仏師とは仏像を彫る人です。有名な作品は東大寺南大門の金剛力士像です。歴史の教科書には必ず出てきます。人物の解説はウィキペディアなどに詳しく紹介されているので割愛します。ここでは、彼らの作品の中て私の大好仏を紹介します。
まずは快慶の作品です。
国宝 渡海文殊
安倍文殊院(奈良県桜井市)の本尊です。獅子に乗った文殊菩薩が眷属(けんぞく)の善財童子・優填王(うでんおう)・仏陀波利(ぶつだはり)・最勝老人を従え、雲海を渡り中国の五台山に向かう姿です。5体が国宝です。
快慶の仏像はイケメンが多いです。文殊菩薩も端正なお顔です。智慧の仏ですが、降魔の利剣を持ち獅子にまたがる姿はとても凛々しいです。
▲獅子 出典 講談社「日本の仏像」
それに対して獅子は斜めを向き少しとぼけたような愛嬌のある表情です。残念ながら獅子だけ国宝ではありません、
▲国宝 善財童子 出典 講談社「日本の仏像」
善財童子もいい味をだしています。先を急いで焦っているのでしょうか?文殊菩薩に呼び止められ「何でしょうか?」と振り向いているようです。
▲国宝 優填王(うでんおう)出典 講談社「日本の仏像」
優填王は強面ですが、劇画チックな表情に親しみを感じます。
▲国宝 維摩居士(ゆいまこじ)(または最勝老人) 出典 安倍文殊院HP
▲国宝 仏陀波利三蔵立像(ぶつだはりさんぞうりゅうぞう)(または須菩提) 出典 安倍文殊院HP
重文 弥勒菩薩坐像
▲出典 「醍醐寺のすべて」展チラシ
醍醐寺の弥勒菩薩はとてもイケメンです。宝冠、胸飾などの装飾がとても似合います。唇に赤い塗料が残り若々しく感じます。金泥も像全体に残っており、落ち着いた感じで輝いています。
弥勒菩薩は、釈迦入滅後56億7千万何後に悟りを開き如来になり衆生を救う未来仏です。とてつもない遠い未来ですね。
▲出典 講談社「日本の仏像」
次回は阿弥陀仏や四天王などを紹介しようと思います。