大仏師運慶の大好仏その2
9月に東京国立博物館で「運慶展」が開催されます。それを記念し勝手にコラボ企画の第2弾です。私が好きな運慶の傑作をご紹介します。
興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
2017/09/26 ~ 2017/11/26
国宝 金剛力士立像
運慶と言えば奈良 東大寺南大門の金剛力士像、阿形(あぎょう)吽形(うんぎょう)がもっとも有名ですね。歴史の教科書には運慶の代表作として必ず掲載されます。ただし、運慶がひとりで製作したのでなく、慶派一門の共同作業です。その中には快慶も含まれていました。
8mを超える巨像が門の左右から参拝者に睨みをきかせてます。悪者が結界に近づかないようお寺を守護しています。
▲阿形 出典「講談社 日本の仏像」
▲吽形 出典「講談社 日本の仏像」
国宝 八大童子
高野山霊宝館に安置されています。八大童子とは不動明王に仕える童子です。童子たちの表情をご覧ください。それぞれ個性があり、よいお顔をしています。玉眼の目が今にもこちらを見つめてきそうです。
▲制多迦童子(せいたかどうじ)以下、出典はすべて「講談社 日本の仏像」
▲恵光童子(えこうどうじ)
▲矜羯羅童子(こんがらどうじ)
▲恵喜童子(えきどうじ)
▲清浄比丘童子(しょうじょうびくどうじ)
▲烏倶婆俄童子(うぐばがどうじ)
国宝指定は以上の6躯です。他の2躯は後から作り直されました。
▲指徳童子(しとくどうじ)
▲阿耨達童子(あのくたどうじ)
重文 帝釈天、梵天、聖観音立像
愛知県岡崎市にある瀧山寺の宝物殿に安置されています。地元愛知県唯一の運慶作品です。
今までの仏像より色彩が鮮やかなのは、江戸時代と明治時代に塗り直しされたからです。オリジナルはどのような色彩だったのか想像するのも楽しいです。
▲帝釈天立像 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」
帝釈天は仏教の守護神で、インドの神インドラが仏教に取り込まれたものです。妻はなんと、阿修羅の娘です!しかも、帝釈天と阿修羅は以前はとても仲が悪くいつも闘っていましたが、娘をさらわれた阿修羅が怒ったのが原因でした。もちろん、今は仲良しです。
帝釈天は衣の下に鎧を着ているのが特徴です。
▲梵天 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」
梵天も古代インドの神「ブラフマー」が仏教に取り入れられたものです。四面四臂が特徴です。ヒンドゥー教では創造神ブラフマーはヴィシュヌ、シヴァと共に三大神の1人です。梵天と帝釈天は仲良しでいつも対でいるので、梵釈と呼ばれます。
▲聖観音立像 出典「枻出版社 天の仏像のすべて」
まだまだ運慶の素晴らしい作品は数多くあります。ここで紹介できなかった作品が展示会に出展されるので、秋はぜひトーハク(東京国立博物館)へ足を運んでみてください。