東大寺法華堂の巨大仏像群は圧倒的迫力!ぜひ観ていただきたい!
私がお寺で仏像を鑑賞するとき、お目当の仏像に会い行く場合と、お堂全体の仏像群を堪能する場合の2パターンがあります。今回は後者の大好きなお堂について紹介します。
東大寺法華堂(三月堂)
東大寺と言えば、阿形・吽形の南大門、奈良の大仏様の大仏殿、お水取りで有名な二月堂を参拝される人が多いと思います。もちろん、私も大好きな場所ですが、みなさんにぜひお勧めしたいお堂があります。それは、法華堂と戒壇堂です。今回紹介するのは二月堂の隣にある法華堂です。
戒壇堂の魅力はこちらでどうぞ⬇︎
私の大好仏vol.2 東大寺 国宝四天王像 - 神仏欲な日々
法華堂は東大寺最古の国宝建築です。奈良時代に建てられ、鎌倉時代に増築されました。
安置されている10体の仏像がすべて天平時代(奈良時代)の国宝仏で、秘仏の執金剛神像(しゅこんごうじんぞう)以外はいつでも拝観できます。
執金剛神以外は3〜4mの巨大仏なので、大変な迫力です。更に、四天王や金剛力士は憤怒相と言って険しい顔をしているので、恐ろしく感じる人もいるかもしれません。そこが法華堂の最大の魅力です。
不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)
奈良時代に作られた乾漆像の傑作です。高さが3.6mです。三つ目に八本の腕を持つ三目八臂(さんもくはっぴ)の仏像です。
「不空」とは、必ず願いが叶い空しい思いをさせないという意味で、「羂索」は古代インドで密猟や戦闘に使われた捕縛用の縄のことです。あらゆる人々を逃がすことなく救済するという意味があります。上から三本目の左手に持っています。
▲羂索 綺麗な指ですね。
この仏像の見どころは、合掌した手と宝冠です。合掌した両手の間に水晶の宝珠があります。すき間を覗くとわずかに輝く光が見えます。宝冠にはたくさんの宝石が飾られ、製作年代を考えればとても豪華で貴重なものです。しかし、肉眼では遠くて鑑賞不能です。御朱印所に写真と解説がありますので、そちらで確認しましょう。
▲合掌の水晶
▲宝冠 水晶、翡翠、真珠など約2万個の宝石が飾られています。
梵天(ぼんてん)帝釈天(たいしゃくてん)
▲梵天
▲帝釈天
二体ともお堂の中で最も大きい4m超の巨像です。不空羂索観音の脇侍として、向かって右に梵天、左に帝釈天が配置されています。本尊より大きな脇侍はとても珍しいです。
梵天は衣の下に鎧を着け、左手に巻物を持っています。帝釈天は衣しか着ていません。しかし、通例では戦いの神である帝釈天か鎧を着ています。長い歴史の中で間違って伝えられたというのが定説です。このようなことは他のお寺でもよくあることです(笑)
二体とも細く切れ長の目で静かな表情です。しかし、巨大で重厚な幅広の体躯なので、立っているだけで迫力があります。
金剛力士立像
▲阿形
通常、金剛力士像は上半身裸で仁王門に安置されていますが、法華堂の力士像は鎧を着てお堂にいます。
阿形は「あっ」と開いた口と大きく見開いた目とをした憤怒相です。まさに「怒髪天を衝く」表情です。大陸風の鎧もかっこいいと思います。像高は3.2mです。
▲吽形
吽形は「んっ」と口をつぐんだ険しい表情です。頬骨が張って力強い意思を感じます。右手に金剛杵を握っています。
四天王立像
▲持国天(じこくてん)
像高3.1m。須弥壇の右手手前にいます。右足を上げ左手を腰に当ててポーズを決めています。目を見開き口を開ける憤怒相です。
▲増長天(ぞうちょうてん)
像高3.0m。須弥壇の左手手前にいます。1人だけ兜を被っています。目を細めて睨んできます。こちらも右足を上げています。
▲広目天(こうもくてん)
像高3.1m。お堂の左奥にいます。右手に筆を持ち、左手に巻物を持っています。
▲多聞天(たもんてん)
像高3.1m。お堂の右奥にいます。お堂では暗くて見にくい場所です。しかし、ソロ活動するときは毘沙門天(びしゃもんてん)と呼ばれる人気者です。
秘仏 執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)
執金剛神像とは金剛杵(こんごうしょ)を執って仏法を守護する神のことで、金剛力士(仁王)はこの神将が発展して生まれたといわれている。普段は不空羂索観音像背後の厨子内に収められておられますが、年に一度12月16日の良弁忌のみ公開される秘仏です。
長年厨子の中に安置されていたので、当初の色彩が鮮明に残っています。
※画像は全て「講談社 日本の仏像」から引用しました。
法華堂は、仏たちの大きさと睨みに圧倒され、心にたまった邪気が振り払われるようです。畏敬の念や緊張感を持って参拝する稀有なお堂ですので、東大寺へ行ったらぜひ法華堂まで足を伸ばしてください。
▲法華堂のご朱印