タイムスリップできるお寺 〜奈良 薬師寺〜
奈良の西の京にある薬師寺の伽藍に立つと、いつも不思議な感覚に捉われます。
現在から奈良時代へ、奈良時代から現在へ、何度もタイムスリップするような感覚です。
理由はのちほどご説明します。
また、薬師寺には奇跡の美仏がある、私の大好きなお寺です。
東塔と西塔
▲左 東塔、右 西塔 出典「薬師寺HP」
薬師寺の伽藍には二棟の三重塔が向かい合って建っています。
東塔は約1300年前に建立され、現在も奇跡的に残っています。長年の風雪にさらされ、柱と扉は茶褐色に変色して渋みを感じます。
フェノロサは「凍れる音楽」と表現しました。
振り返ると西塔があります。1981年に再建されました。
奈良時代の姿を忠実に再現しており、塔の連子窓(れんじまど)は緑に近い「青(あお)」色、扉や柱は「丹(に)」色(現在では朱色と呼ばれる色です)に塗られ、とても華やかです。
奈良にあった平城京の建物は、青丹に彩られとても華やかでした。
その後、「あおによし」は奈良の枕詞になっています。
東塔を見ると、1300年の月日が流れた現在です。
振り返えると、1300年前平城京の人々が見たであろう西塔の姿です。
交互に見ると、現在と奈良時代を一瞬でタイムスリップできます。
▲出展 「JR東海 うましうるわし奈良ポスター」
奇跡の三尊像
奈良時代大寺院だった薬師寺は広大な土地を所有し、大小さまざまな建物がありました。
しかし、度重なる戦火と落雷などの自然災害で、東塔と東金堂以外は壊れてしまい、荒れるがままになっていたそうです。
しかし、本尊である薬師如来と脇侍の日光月光菩薩は、1300年間大切に守られていました。
現在は、1976年に再建された金堂に安置されています。
荒廃したお寺で、奇跡的に保存されていた薬師三尊。しかも、21世紀製作と言われたら信じてしまうほど、保存状態が素晴らしいです。
更に、姿形がとても美しいので、奇跡の仏像なのです。
▲薬師三尊像 出展「講談社 日本の仏像」
その他にも、素晴らしい仏像がたくさんありますので、みなさんにもぜひ訪れてほしいです。