京阪電車でGO! 仏像巡りの旅その4
出典 泉涌寺HP
京都の京阪電車沿線の、おすすめのお寺と仏像を紹介するシリーズも第4弾です。
今回は東福寺駅です。
東福寺駅
前回紹介した七条駅の隣です。
御寺泉涌寺塔頭 即成院(みてらせんにゅうじたっちゅう そくじょういん)
【アクセス】
東福寺駅徒歩10分
ここには「重文 阿弥陀如来と二十五菩薩」があります。
重文 阿弥陀如来坐像
出典 講談社「日本の仏像」
阿弥陀如来の高さは5.5メートル。居並ぶ二十五菩薩もそれぞれ像高が150センチあります。
目のあたりにすると迫力満点だと思います。
極楽浄土の世界を立体的に表現したもので"現世極楽浄土"と呼んでいます。
最近、大仏師定朝の作品だと判明したそうです。そうならば、現存している定朝の作品としては2例目となります。
また、二十五菩薩とは別に制作された如意輪観音もあります。
重文 如意輪観音
出典 枻出版社「ぐっとくる!仏像」
また境内には、屋島の合戦で知られる源義経の臣・那須与一宗高の墓が祀られています。『願いが的へ』と願い事を扇に書いて祈願する参拝者が訪れます。
御寺泉涌寺(みてらせんにゅうじ)
鎌倉時代から江戸時代にかけて、皇室の菩提所として発展してきたので、御寺と呼ばれています。
【アクセス】
東福寺駅徒歩10分。即成院の目と鼻の先です。
重文 聖観音菩薩坐像
出典 泉涌寺HP
その美しさから、玄宗皇帝が亡き楊貴妃の冥福を祈って造顕された像との伝承を生み、楊貴妃観音と呼ばれてきたそうです。
観音堂に納められています。
丈六戒光寺(じょうろくかいこうじ)
『アクセス】
東福寺駅徒歩10分。即成院の隣です。
ここには、5m超の丈六本尊釈迦如来像があります。なので、地元では丈六さんと親しまれています。
丈六とは、立像の高さが1丈6尺(約4.8メートル)ある仏像のことです。
重文 釈迦如来立像
出典 講談社「日本の仏像」
画像でも迫力ありますね。
宋風をおびた鋭い眼光と長い爪が特徴の阿弥陀像です。
鎌倉時代の大仏師 運慶・湛慶親子の合作だそうです。
泉涌寺塔頭 来迎院(らいごういん)
泉涌寺の敷地内にあります。
ここには、とても珍しい三法荒神像があります。
重文 三法荒神像
出典 来迎院HP
弘法大師が、大同元年(806)唐の国に渡られたとき感得された三宝荒神さんで、当初は御自分の手で座像をお彫りになったと伝えられています。 〜中略〜
その後代々の帝が信仰を寄せられましたが、後奈良上皇がお姿を写した画像に「泉涌寺大荒神」とお書きになり、そのお姿がこの三宝大荒神座像とされています。日本最初の荒神さんです。 〜中略〜
特にゆな荒神という別名のあるとおり、昔から皇室の方々が安産を祈願されてきました。今現在も、安産のご祈祷を依頼される方がたくさん訪れていらっしゃいます。
このお寺には、忠臣蔵で有名な大石内蔵助建立の茶室があります。
次回は、六地蔵駅で途中下車します。
京阪電車でGO! 仏像巡りの旅 その三
出典 講談社「日本の仏像」
京都の京阪電車沿線の、おすすめのお寺と仏像を紹介するシリーズ第3弾です。
七条駅
第2弾で紹介した清水五条駅の次の駅です。
ここで紹介するのは、もちろん三十三間堂です。
東寺と並び仏像マニアの聖地です。
蓮華王院三十三間堂
正式名は、蓮華王院で、その本堂が「三十三間堂」と通称されています。
後白河上皇のために平清盛が資金提供して建立されました。
「三十三」という数は、観音菩薩の変化身三十三身にもとづく数を表しています。
お寺へ行って三十三の数字を見かけたら、観音様が祀られていると思って間違いありません。
お堂に入ってまず見ていただきたいのが、風神・雷神像と二十八部衆です。30体すべてが国宝です。
国宝 風神像・雷神像
出典 講談社「日本の仏像」
千体千手観音立像の前面に立ち、仏様を護っています。
その多くは、古代インドに起源をもつ神々で、千手観音の眷属(けんぞく)として仏教とその信者を守るとされます。
天衣の女神や甲冑をつけた神将、鳥の顔したもの、動物や楽器を執るものなど変化に富んでいます。
また、筋肉、血管、骨格がリアルに表現されており、今にも動き出しそうです。
国宝 迦楼羅王(かるらおう)
サンスクリット語のガルーダの音訳で、どう猛な取りを神格化したもの
国宝 難陀竜王(なんだりゅうおう)
蛇を意味したナーガは中国では竜(王)と訳す。
国宝 大弁功徳天(だいべんくどくてん)
仏教では吉祥天(きっしょうてん)として取り入れられ、毘沙門天の妻ともされている。
出典 講談社「日本の仏像」
あの阿修羅も二十八部衆の中にいます。
奈良興福寺の阿修羅像とは違い、筋肉が盛り上がり怖い顔をしています。
こちらが本来の"戦闘神"の姿を現した阿修羅像です。
古代インドでは帝釈天と絶えず闘争する戦闘神であった。
本尊は「国宝 千手観音坐像」です。
出典 講談社「日本の仏像」
鎌倉時代の大仏師湛慶(たんけい、運慶のお父さん)の作品です。
左右を合計千体の千手観音と二十八部衆に護られ、お堂の中央に鎮座されています。
坐像なのに約3mの高さがあり、間近で見るとかなり迫力があります。
慶派の仏像らしくお顔が端正で、キリッとしています。
宝飾も豪華で華やかです。42手の持物も丁寧に造られています。
▲御朱印 「大悲殿」
大悲とは観音菩薩の別名で、菩薩の広大な慈悲の心を表す。つまり、大悲殿と観音菩薩が安置されている建物のこと。
おまけ・・・
智積院
長谷川等伯の「国宝 楓図」、その息子長谷川久蔵「国宝 桜図」は必見です。
三十三間堂から歩いて5分ほどなので、ぜひ立ち寄ってください。
国宝 楓図 出典 週刊朝日百科「国宝の美」
養源院
三十三間堂のすぐお隣です。
豊臣秀吉の側室茶々(淀姫)が、父・浅井長政を追善供養のため、21回忌法要の時(文禄3年・1594年)に創建したお寺です。
ここには、俵屋宗達の「重文 白象図」「重文 唐獅子図」があり、こちらも必見です。
重文 白象図 出典 講談社「日本の仏像」
京都国立博物館
三十三間堂の目の前にあります。
1897年(明治30年)5月に開館しました。
博物館の本館は片山東熊(かたやま とうくま)の設計になる煉瓦造平屋建て、フレンチルネサンス様式です。
当時のままの姿で今だに博物館として使用されています。
この建物を見るだけでも価値があります。
次回は東福寺で途中下車します。
京阪電車でGO! 仏像巡りの旅その二
重文 空也上人立像
出典 講談社「日本の仏像」
京都の京阪電車沿線の、おすすめのお寺と仏像を紹介するシリーズ第2弾です。
清水五条駅
第1弾で紹介した神宮丸太町駅から3つ目の駅です。
ここで紹介するのは、六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)と清水寺です。
六波羅蜜寺
天暦5年(951)醍醐天皇第二皇子光勝空也上人により開創されたお寺です。
【アクセス】
清水五条駅徒歩約7分
重文 空也上人立像
出典 講談社「日本の仏像」
口から人が行列で出てます!
初めて見たときは、驚きました。
これは六体の小さな阿弥陀仏です。
空也上人が「南無阿弥陀仏」を唱えている様子を、一文字一体で表現しています。
重文 平清盛像
重文 地蔵菩薩坐像
出典 講談社「日本の仏像」
その他にも、大仏師湛慶、運慶親子の像もあります。
小さいお寺ですが、貴重な仏像がたくさんあります。
音羽山清水寺
説明する必要がありませんね。
実はここにも珍しい仏像があります。
【アクセス】
六波羅蜜寺から徒歩13分
清水五条駅から徒歩25分
本尊の千手観音像は一般的な千手観音像と違い、左右の腕を頭上に高く挙げて化仏(けぶつ)を戴く姿は清水寺独自のもので、「清水型観音」と呼ばれています。
本堂の内内陣に安置されていますが、33年に一度しか公開されない秘仏です。
前回は2000年に公開されたので、次回は2033年ですね。
わたしは2008年の特別公開の時、拝観しました( ^ω^ )
ただし、がっかりしないでください。
秘仏が納められている厨子(ずし)の前に御本尊の姿を写した御前立仏(おまえだちぼとけ)を安置しており、そちらは毎年8月14~16日の宵詣りをはじめ、特別な法要の際には間近で拝観することができます。
御前立仏(おまえだちぼとけ)
出典 講談社「日本の仏像」
また、千手観音の眷属(けんぞく)である二十八部衆と風神・雷神が厨子の左右を固めています。
清水寺のHPに素晴らしい動画があるので、ぜひぜひご覧ください!
二十八部衆立像
次回は、七条駅で途中下車します。
京阪電車でGO! 仏像巡りの旅 その一
出典 講談社「日本の仏像」
京都の京阪電車沿線には、素晴らしい仏像がお祀りされているお寺がたくさんあります。
おすすめのお寺と仏像をまとめたので紹介します。
ルートは京都市内を縦断する京阪鴨東線の始発出町柳駅を出発し、中書島駅で宇治線に乗り換え、宇治駅がゴールです。
さあ、京阪電車に乗って、仏像巡りの旅に出かけましょう(^o^)/
神宮丸太町駅(京阪鴨東線)
まず、金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の文殊菩薩(もんじゅぼさつ)とアフロ仏像を紹介します。
【金戒光明寺アクセス】
京阪鴨東線神宮丸太町駅から徒歩30分
または市バス204番で岡崎道下車徒歩10分
文殊は諸仏の智慧を象徴する菩薩です。
「三人寄れば文殊の知恵」と言いますよね。
またがっている獅子が可愛いですよ。
寺伝では大仏師運慶の作品と伝えられています。
アフロ仏像とは、五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀如来像のことです。
出典 トラベル.jpタビネス
ファンキーな髪型です。
とてつなく長い時間(五劫)人々を救う為、ただひたすら思惟かさねていたので、螺髪(らほつ)が伸びてしまった様子を表しています。
五劫とは時の長さで一劫が五つということです。一劫とは「四十里立方(約160km)の大岩に天女が三年に一度舞い降りて羽衣で撫で、その岩が無くなるまでの長い時間」です(°▽°)
金戒光明寺は「くろ谷さん」と呼ばれています。
幕末には、会津藩主松平容保(かたもり)が新選組を創設した場所として、とても有名です。
続いて金戒光明寺から歩いて20分ほどにある、禅林寺永観堂を紹介します。
【永観堂アクセス】
京阪電車「神宮丸太町」から市バス204、93系統「東天王町」下車、徒歩8分
ここは「みかえり阿弥陀」と紅葉がとても有名なお寺です。
ご覧の通り阿弥陀様の首が左に90度曲がっています。
永観50歳のころである。2月15日払暁、永観は底冷えのするお堂で、ある時は正座し、ある時は阿弥陀像のまわりを念仏して行道していた。すると突然、須弥壇に安置してある阿弥陀像が壇を下りて永観を先導し行道をはじめられた。永観は驚き、呆然と立ちつくしたという。この時、阿弥陀は左肩越しに振り返り、
「永観、おそし」
と声をかけられた。永観はその尊く慈悲深いお姿を後世に伝えたいと阿弥陀に願われ、阿弥陀如来像は今にその尊容を伝えると言われている。出典 永観堂HP
秋になると紅葉がとても綺麗です。
11月には夜間のライトアップがあります。
近くには、南禅寺と琵琶湖疎水の水路閣がありこちらも紅葉が綺麗なので、これからの季節オススメです。
国宝阿弥陀如来をゴロ寝して拝む
法界寺 国宝阿弥陀如来座像
出典 講談社「日本の仏像」
京阪電車に乗り黄檗駅(おうばくえき)から二つ目の六地蔵で降ります。
そこで、日野誕生院行きの京阪バスに乗り換え、15分ほどの「日野薬師」で降ります。
▲ひのやくし
日野の里にある法界寺の本尊は薬師如来です。
しかし、お目当ては国宝の阿弥陀堂にいらっしゃる阿弥陀如来座像です。
▲山門
先客がいましたが、わたしがお堂に入る前に帰って行きました。
ここでも、ぼっちです^o^
受付で拝観料を納め、御朱印帳も預かっていただき、お堂へ移動しました。
お堂に入ると住職らしき方から、お堂と仏像について簡単に説明していただきました。
▲国宝 阿弥陀堂
浄土教の流行や、末法思想等の影響で各地に建てられた典型的な阿弥陀堂建築の一つ。五間五面の檜皮葺、宝形造で,周囲一間の廂を付し、一見方七間の重曹建築の感がある。屋根には宝珠露盤を置き、屋根の勾配もゆるやかで、外観は、軽妙温雅である。
出典 京都観光Navi HP
▲国宝 阿弥陀如来座像
堂内には定朝様(じょうちょうよう)の丈六※(じょうろく)の阿弥陀如来像(国宝)が、安置され、周りには、これも絵画史上貴重な天人の壁画(重文)が描かれ、さながら現世の極楽浄土の世界を表している。
出典 京都観光Navi HP
※丈六像とは立像のたけが、一丈六尺=約五メートルある仏像。座像ではその半分)の高さ
説明を終えた住職がお堂から出て行かれたので、ゆっくり拝観です。
まずは正面に正座して合掌。
しばらく、正面のお姿をじっくり観察します。
平等院の阿弥陀仏より、ふっくらとしたお顔で目はほとんど閉じたような半眼です。
立ち上がりお堂の中を歩き、いろいろな角度から眺めます。
お堂を一周したのち、再び正面に座り向き合います。
10分ほど眺めたのち、誰もいないのでそのままゴロ寝してしまいました。
(お堂の中では畳敷きです)
ツクツクボウシの鳴き声が聞こえます。
なんという贅沢な時間でしょう。
極楽、極楽(^-^)
最後に再び正座して合掌。
お堂をあとにしました。
朱印所に置かれてあった御朱印帳を受け取り、バス停へ向かいました。
▲御朱印は本尊の薬師如来です。
お腹いっぱいになるお寺 萬福寺
日本三大古橋の宇治橋を渡ります。
▲宇治橋
黄檗山萬福寺は1661年に中国僧 隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師 によって開創された、黄檗宗の大本山です。
京都にあるお寺としてはかなり新しいお寺です。
▲総門
禅師は中国明朝時代の臨済宗を代表する僧で、中国福建省福州府福清県にある黄檗山萬福寺のご住職をされていました。その当時、日本からの度重なる招請に応じ、63歳の時に弟子20名を伴って1654年に来朝されました。宇治の地でお寺を開くにあたり、隠元和尚は寺名を中国の自坊と同じ「黄檗山萬福寺」と名付けました。
その後、幕府の政策等により、宗派を黄檗宗と改宗し現在に至ります。日本でいう「禅宗」は、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の三宗に分類されています。出典 萬福寺HP
▲三門
▲伽藍
三門をくぐって、その広さに驚きました。
お堂もたくさん建っています。
▲布袋尊 立派なお腹です(^^)
寺の玄関として設けられた天王殿におられます。弥勒菩薩の化身(けしん)です。
▲韋駄天(いだてん)像 かっこいいです。
▲四天王像の多聞天(たもんてん)
珍しく撮影自由なお寺です。
▲大雄宝殿(だいおうほうでん) 萬福寺の本堂です。
▲本尊の釈迦牟尼佛(しゃかむにぶつ)
▲両単に十八羅漢像が安置されています。
▲羅睺羅尊者(らごらそんじゃ)坐像
両手で腹を開き、中から仏の顔が!∑(゚Д゚)
十八羅漢の中でいちばん目立ちます。
残念ながらこの日は国立東京博物館に出張してました…
▲ 香炉 すべてが中華風です。
▲開版(かいばん) 木魚の原形だそうです。
▲このように時を報じます。
▲回廊
▲御朱印 布袋尊と書かれています。
広い境内、たくさんの中華風のお堂と仏像。
萬福寺は見どころ豊富で、お腹がいっぱいになるお寺でした。
宇治平等院
出典 平等院HP
6年振りの平等院です^_^;
平成の大改修後(2012年6月〜2014年3月)初めて訪れます。
▲before 2010年9月
▲after 2016年9月
全然違いますね(°_°)
素人の写メでも一目瞭然!
屋根の鳳凰も金ピカです。
最初に堂内見学ツアーのチケットを買い(300円)、集合時間まで30分あるので、お堂の周りを散策。
1回のツアーは30〜40人でしょうか。
最初に見学の注意事項を聞いてから、橋を渡りお堂に入ります。
今回はたまたまお堂の修繕作業をしており、一部に足場とシートがあり、少し残念でした。
お堂の中でガイドさんの説明を聞いたのち、しばらく自由に見学できます。
わたし以外のツアー客は10分ほど見学するとお堂から出て行ってくれます。
ここからがわたしのゴールデンタイム❗️
制限時間いっぱいまでお堂の中は、国宝阿弥陀如来座像とガイドさんとわたしの3人だけ。
鳳凰堂と国宝仏をほぼ独り占め。なんて幸せな時間でしょうか。
じっくりと阿弥陀様と向き合い、至福の時を過ごしました。
極楽気分のままお堂から出て、再びお堂の周りをぷらぷら。
続いて雲中供養菩薩像に会い行きます。
▲鳳翔館入口もいい感じに苔むしてきました。
▲踊っています。南20号
▲わかりにくいですが唄っています。
▲整ってます。
▲雲がダイナミックです。
※菩薩像は全てポストカードから引用
拝観後、入口目の前の"ますだ茶舗"で抹茶を振りかけた抹茶ソフトをいただきました。
とても美味しいのでおすすめです。
▲入口の石碑 振り向けばますだ茶舗です。
▲御朱印 鳳凰堂と阿弥陀如来
阿弥陀如来についてはこちらで紹介しています↓